【つれづれ俺なるままに】11
(97.11.21)
ポジティブ思考はいけないのか?


〜アムウェイの被害者インタビューを聞いて〜

(人生の夢とバランス)


つれづれ俺なるままに。

夕方5:00くらいかな?
自宅で寝ていたら大学時代からの友人で現在ワイドショーのディレクターを務めるクマからTELあり。
ワイドショーの取材で湘南台に住む「アムウェイの被害者」のインタビュー場所が無いので、棟方宅は使えないか?という内容。別に用もなかったので快く承諾。
インタビューは「アムウェイに入って生活が破綻した娘さんの父」だった。脇で何げに聞いていたが、とても面白い内容だった。


「アムウェイ」は、ある意味で宗教だし精神世界の会社だ。
ほとんどの人がアムウェイを御存知だと思うが、そのマルチ商法的な部分もさることながら、有名なのは「販売員に対しての、いわゆるマインドコントロールとも言えるポジティブ思考の教育」だ。「全てプラス思考でいけば実現する」「マイナス思考をしりぞけ」「夢は大きければ大きい程いい」などなど。
「ポジティブな思考が夢を現実化する」という最近の「波動」的思想が元になっている。実はご存じの通り(?)僕は「精神世界」が好きな人間だ。
自分なりに本で研究したりセミナーに行ってみたり、またそれを自分の生活に応用してみたりしている。また、この手の「思考が現実を創る」という考え方には共感を憶える。
しかし何故、様々な社会問題が起こるのか?
まず第一番目の要素。
僕が思うに、本当の「精神世界」で言ってることは「あなたにも出来る」とは言うが「私たちの方法でやらなくてはいけない」とは言わない。
むしろそれを言う人間には気をつけなければならない。
本物は決して「自分に依存」させようとはしないからだ。
麻原氏の間違いもそこにある。本当の精神的なことを伝える人間はこう言うだろう。

「私に頼らないで下さい。それはあなたの可能性と力を奪うことになり、私が言っている意味とは逆のことです。もし私の話しに共感するなら、私に頼らず自分で体験しながら(知識でなく)自分の道を見つけてください。その力を誰しもが持っているというのが私の伝えたい内容そのものだからです」

アムウェイの上層部は、「脳内革命」などの船井研究所と繋がりがあるらしい。僕は必ずしも船井氏の言ってることとかが「変だ」とは思わないし、ある意味では共感するが、最終的には自分で租借しないと危ない。危ないのは、そのような組織自体ではなく盲従してしまう自分自身だ。勿論、盲従を促す組織にも問題はあるが、組織をつぶしても「盲従したい」という意識が自分の中にある限り、また似たような組織に出逢い「今度は前より素晴らしい組織だろう」と思ってまた同じことを繰り返す。


不治の病を治すために様々な新興宗教を、いくつもはしごしては落胆している人も同じ構造だ。
第2番目の要素。
ポジティブシンキングの危険性はポジティブなことがいけないのではなくネガティブに目を閉じてしまうことだ。
ネガティブとは必ずしもネガティブではない。例えば「喧嘩」という一見ネガティブな行動がお互いのコミュニケーションを深くし、更に親密になるというケースがそれだ。「表面的な平和」や「表面的な成功」は必ずしもポジティブではない。

ネガティブな事柄には必ず意味があり、ポジティブな事柄に行く前のバランスを取るための重要な要素。
「家族の反対や家庭生活の破綻をしてまでも欲しい夢」とは幸せなのか?
「自分がイメージする幸せ」とはどんなものなのか?
仕事、収入、家族、人間関係。それら全てが合わさって人生だけれどもそれぞれがどんなバランスでどのようになりたいのか?の具体的イメージがないと(よくポジティブシンキングではイメージトレーニングをするが)バランスが壊れる。
壊れるということは


「あなたのやり方を修正する必要があります」と、その人自身の内面意識が教えてくれているのだ。
また「思考が現実を創る」という考えは、かなり突飛に聞こえるかもしれないが、僕は今のところそうだと思う。だが勘違いしないほうがいいのは、思考が変われば現実は簡単に変わるのだが
「思考を変えるのは容易ではない」ということだ。
自分の意識の中には「常識」や「集合意識」など様々な要素があり、頭で「さあ、思考を変えたぞ」なんて思っても潜在意識は何も変わっていない。例えば「あんな奴死んじまえ!」って誰しも思ったことがあると思いますが(笑)、その度に人が死んだら大変です(笑)。表面意識で考えていることが本当に潜在意識まで到達し、納得が行くには時間がかかるし、潜在的に「その願いは本当の自分の願いではない」と思っていれば、いつまでも実現しない。

もっと突飛な例を出して考えてみましょう。
「人は何故、空を自分で飛べないのか?」(笑)。これは「思考が現実を創る」という話しで考えると「人間のほとんど全員が『人間は乗り物に乗らないと飛べない』と信じているから」ということになる。心底信じていることが今の現実。
その昔、ライト兄弟が「空を飛びたい。空を飛ぶ乗り物を創りたい」と言って当時の人は気違いだと思った人も多かったでしょう。でもライト兄弟は「自分を信じていた」のだと思います。潜在意識のレベルで。何か最初に人間の限界を越えることを達成する人は大抵「気違い」扱いを受けます。まだ全体的な集合意識に馴染まない考えを信じるからです。


僕の私見ではこのような組織や団体がこれからも増えると思う。
それは「今のままでは満足出来ない」と深層意識で思ってる人が多いからだと思う。今に不満がなければ「のめり込む」ことはないからだ。
その時に思うのは「自分を保つ」こと。
自分の本当に望むことは自分にしか解らないということを、自分にも、また他人にも思えるかどうかということだ。
取材の帰りがけに、被害者のお父さんと話しをした。彼は僕の本棚のラジニーシ和尚(有名なインドの覚者でニューエイジでも信奉者が多い)の書籍を見つけ
「あ、わたしも読んでます。あなたはスピリチュアルなことに興味があるんですね。で、ラジニーシも言ってますが『帰属するな』ということですよね」
「そうなんですよ。自分で出来るっていうことを伝えているのに、みんな勘違いして大きな組織や指導者に頼ってしまうんです」と僕。
組織や指導者に依存せず、まずは一人で出来ることから始める。
このお父さんは「解ってるなあ」と思い、以前のオウムの被害者の「やみくもな被害者意識と相手の全否定」にならないような気がして、彼の「アムウェイ批判」を応援したいと思ったのである。
【今夜のBGM】「BE JAZ!」(V.A.)
随分前に出た、JAZZコンピで、スカパラのメンバーによる選曲。
CLUB JAZZというよりは「和めるJAZZ」。
撮影準備の間にこれをかけていたら、被害者のお父さんが「あ、ジャズすきなんですか?」「ええ。昔だとコルトレーンとか」「後期は難しくなっちゃって」「そうですね。僕も聞きやすいのが好きです」。聞きやすさは人それぞれですが、流行り飲まれず「今、自分が気持ち良いもの」を聞いていきたいものです。
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