【review・8】


JAWS


(これぞ奇跡的冒険活劇!!)
(97.8.9)


あんたは最高!!!、スピちゃん(笑)。

「ロスト・ワールド」のすぐあとだけに、その面白さの差が歴然としてる。こんなに面白い冒険活劇映画を僕はほとんど知らない。数をたくさん見る方じゃないけれど、


この映画は一生見続けるかもしれない。
もう20回は見ただろうか?見る度に発見があるのは映像技術の映画ではないからである。技術は色褪せるが、良く出来た映画は何度見ても飽きない。その後のスピルバーグを見てもどうして27歳の監督に撮れたのか不思議でならない。とにかく根本にあるのは、
登場人物の魅力。これに尽きる。
ほとんどの人が、この映画を「パニック映画」の古典として見るかもしれない(その部分としても素晴らしいのはモチロンだけど)この映画の隠れたテーマは「トラウマ(精神的外傷)の克服」にあると思う。主役であるロイ・シャイダー演ずる小さな街の署長は、幼い頃の船の転覆事故により海が恐くて泳げず、船にさえ乗るのもままならない。N.Y.市警にいた彼は、なんの因果か海水浴の名所である小さな街に転属し、そこで海の怪物と対決を迫られるはめになるのである。
ヒッチコック映画の典型でもある「トラウマとの対決」。
スピルバーグが大の映画マニアで、この映画も様々な映画の引用によって成り立っている「娯楽映画のスピルバーグREMIX」であることには違いないのだが、単に彼は手法としてのサスペンスやアクションのカット割りを引用しているのではなく(ブライアン・デパルマが手法に片寄りがちなのに対して)往年の名作が持っていた、
「映画の精神」を引用しているのだ。
つまり「人間の描き方」。前半がジョーズが現れるまでのサスペンス中心(ヒッチコック的不安心理の描写)とするならば、ジョーズとの対決を中心とした後半はジョン・フォードとハワード・ホークスが描く「男の冒険物語」。
様々な要素が奇跡的に絡み合った希に見る映画。
後半、海のド真ん中に小さな漁船一隻に乗る3人の男達とジョーズだけの長い対決シーンは、ややもすると単調な画面(海以外なにもないのだし)になってしまうのだが、そんなことは一切無く、ときたまホントに奇跡的素晴らしいカットがある(例えば、ジョーズのあまりの怪物ぶりに、ロバート・ショー演ずる船長が、茫然としつつも静かな笑みを浮かべながら船の橋先に立ち尽くすカット。素晴らしい!)。単調な舞台だからこそ、その時間経過が空の夕日などの光によってのみ表され、それが実に臨場感を醸し出す。一種の「閉ざされた空間」が「映画的空間」として素晴らしいものになるパターンはよくある。まあ「エイリアン」の宇宙船に閉じ込められた状況などはそうでしょう。ただ「エイリアン」より「ジョーズ」が好きな理由に、「ジョーズ」は極限に追い込まれながらも「ユーモアと明るさ」を失わない「古き良きアメリカ映画」に見られる「たくましい人間像」が描かれていることである。まあ見てないひとがいたら、とにかく一見していただくしかない。この映画がつまらないという人とは、僕はかなり生理的に合わないんじゃないかなあ?なんて。
真の冒険活劇は「肉体」と同時に「精神」も冒険している。
最近の映画は精神的病理をそのまま病理として描くか、もしくはただ強い人間離れした人物がSFXの力を借りて暴れまわる「ファミコン的アクション映画」が主流で、僕はなんか「映画のワクワクする感じってこうだったけかなあ?」と疑問を抱かざるを得ないのである。「強い人間が強い」のは当たり前で僕にはつまらない(シュワちゃん。あんたのことだよ)。「弱い人間」が、しかも「自分の急所」に対面しながら立ち上がり、それを克服していく。観客も一緒に解放される。それをご都合主義に陥らず、なんとか「映画的リアリティ」のなかで上手く見せてくれる。僕にとってのエンターテイメントってのはそういうもんで「ジョーズ」はそんな映画なのです。
「JAWS」(1975年・アメリカ・ユニヴァーサル映画)監督:スティーブン・スピルバーグ、脚本:カール・ゴットリーヴ、撮影:ウィリアム・バトラー、音楽:ジョン・ウィリアムス、出演:ロイ・シャイダー、ロバート・ショー、リチャード・ドレイファス、ロレイン・ゲイレー、マレー・ミルトン他
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