【review・7】


THE LOST WORLD


(冒険活劇の面白さって?)
(97.8.7)


困ったね、スピちゃん(笑)。

前作の「ジュラシック・パーク」もそうだったけど、今回はちょっと面白いだろう なんて考えたのが間違いだったのかなあ。スピルバーグから「映画の神様」がどうやら離れたらしい(随分前からかもね)。本当に面白い活劇を撮れる監督はアメリカにいなくなってしまったのだろうか?


冒険活劇の面白さとはなんだろう?
でも、この映画、大抵の人は面白かったというかもね。多分そうでしょう。確かに「ビックリ」するし「迫力」あるし「恐い」よね。で?他には?印象に残った人物は?映画を見る前と見た後で(映画館を出たときの)気持ちはどんな風だった?
僕にとっての活劇とは「映画館を出たときに心も身体も軽やか」になっている映画のことです。
まあ「とっても落ち込んで心にずっしりと重いもの」が残ってもいい。あの登場人物のことを思うと哀しくてしかたがない。とかね。「ロストワールド」には見事にそれがない。心の状態がちっとも変わらないんです。
「ロストワールド」は悪い意味でのディズニーランドだ。
宮崎駿さんが活劇に関してこんなことを言っています。「例えエンターテイメントであっても、映画館を出て行くときに、少しでも気持ちが解放されていたり、厳粛な気持ちになったりするものが創りたいのです。敷居は低くて広いけど、ある高みに持っていく。ディズニー映画ってディズニーランドと同じ構造を持っていてそういうものがないでしょ」つまり「あービックリした」だけなのである。
でも皆、そおいうのが好きな時代に入ったのかなあ?
僕はテレビゲームってほとんどやらないんだけど、段々、娯楽映画自体がファミコン化してるのかね。刺激だけ。刺激ってのはどんどん過剰になっていくだけなんだ。それが映画の進歩だろうか?なんか「げんなり」してくるね。技術の進歩って勿論必要なんだけど。なんかパソコンだけが進歩し続けて、コンテンツが貧しいインターネットの現状みたいだなあ。
冒険活劇って「心の成長」が見られないと面白くないんだ。
ほんのちょっとしたことでもいいんだけど「出来なかった事がようやく出来た」とか「臆病だったけど、立ち向かうことが出来た」とかね。活劇に出てくる「悪役」や「恐怖」ってのは主人公達を「成長」させるために創られた便宜上の「鏡」なんじゃないかと思う。つまり「恐竜」も「災害」も「心の中にある闇」であり、それと直面することによって「心の成長」「解放」がある。子供の頃、僕は「何か勇気が湧いた」とか「やれば出来るかもしれない」とか思えた映画に数多く出逢い、豊かな体験をしたように思う。ただ逃げ惑う人々の恐怖や偶然の重なりで助かる登場人物達を見ていてもつまらない。まあ、そうじゃない場面もいくつかは見られるんだけど、そこにこそリアリティをもたせて欲しいのだ。
人間の素晴らしさや勇気に対するリアリティ。
「これは創られた虚構の世界だけど、なんか俺(私にも)にもこの主人公のような素晴らしさを持っているんじゃないか?」と思わせるための映画的リアリティ。「ジョーズ」にはそれがあった。船に乗ってジョーズを退治に行く登場人物の「勇気」(彼は泳げない。水が恐いのだ)。そして人間の知恵の素晴らしさ。海の男のかっこよさ。役人のあさましさ。どの人物もありありと思い出せる。やっぱり脚本が今、一番衰弱してるんだろうね。「人間」をしっかり描き込んだ冒険活劇が見たい。 自分で書いてみようかなあ・・・・。
「THE LOST WORLD」(1997年・アンブリン・エンターテイメント)監督:スティーブン・スピルバーグ
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