
【review・3】

PEACE BOSSA(毒を知った人の素晴らしい天国的映像)(97.7.13)
ホント,気持ちええわあ〜。
最近、ヒーリングブームとやらで(悪いものばかりじゃないけど)「自然の風景にアンビエントなBGM」をくっつけたビデオが巷で良く売られていますが(六本木WAVEの1Fは巣窟的売り場)、ブーム便乗的なものが少なくはない。なんかもうビデオのジャケットでわかりますよね(笑)。「あ、このビデオ、本気で創ってない(笑)」ってね。まあ「気持ち良さ」っていうのは千差万別なので、それで誰かが解放されたり、気持ち良くなることに口出しするつもりもないのですが、僕なりの「キモチイイ」ビデオを紹介します。なんか映画のコーナーなのに続けてビデオ作品紹介になってますが・・・。
このビデオは「自然」を撮りつつ「人工的」なものを非常に感じる。
「ありのまま」の自然を、がっぽりそのままカメラに納める「NHK紀行物」のような「素朴」なものも大好きですが、このビデオを創ったのは、元々ミュージッククリップを手掛けたり、古いところだと昔、テレビ朝日のの深夜にやっていたサブカル番組「CLUB KING」(あの桑原茂一のクラブキングです。中村ゆうじの「ファンキーキング」なんかも放送してた幻の名番組)のディレクター、いとうせいこうの「業界君物語」の演出などを手掛けた、自称「ピースデリックな作家」中野裕之さん。
元々、とっても「かっこよくて、どこか毒のある映像」が好きでした。
「カッコイイ」ってのは、どこか「毒」のあるものだと僕は思っていますが、中野さんの映像には、とってもそれを感じます(彼の手掛ける布袋ともやすのクリップは特にね)。以前TBSの深夜番組で、中野さんのインタビューを番組に使う機会があり、印象深いことをおっしゃってました。彼のポリシーである「ピースデリック」について・・・
「自然を撮ることはピース。でもそれだけじゃデリックじゃない。それを凝り性的に創ることが僕のピースデリック」
このビデオは小野リサさんによる極上のソフト・ボサノヴァをBGMにアマゾンの雄大な自然を撮ったものなのですが、めちゃ綺麗で気持ちいいのは勿論なのだけど、光の色とが緑の色が微妙に加工されているんです。「そのまま」じゃない。また中野さん得意の「水面に映る光」映像は「自然」として撮っているのでのはなく「地球のデザインした幾何学模様」として撮影しているかのよう。「サイケ」とでもいうのか、何か物質と非物質の間をさまようような「色」なんです。「現実感が薄い」とでもいうか。これは中野さんが撮ったものを東京の編集所で色の加工を1カット毎に「凝り性」的な作業で行ったんだと思います。これはある意味では「人工的な毒」ともいえるんじゃないでしょうか?「自然」と「毒(あるいは都会的なもの)」
の融合。まあこれが気持ちいいと思うのも「都会で見る自然環境ビデオ」だからなのかも知れません。もうひとつこんな事が言えます。自然のビデオを「スイカの食べ方」に例えると、NHK的「ありのまま」映像は「そのまま冷えたスイカにむしゃぶりつく」。中野的ピースデリックな映像は「スイカに塩をつけて食べる」。「塩」とは、この場合「都会的な毒」に値するもの。
「毒」である「塩」をつけることによって、更に「甘味」が増す。
中野ピースデリック裕之さんの自然映像には、そんな「塩をつけたスイカの甘味」のような気持ち良さがあります。とにかくとろけるような映像です。同じ中野さんのビデオで「PEACE BLUE」もお勧め。野性のイルカの美しさもさることながら、テイ・トウワ氏もほれ込む「水中からの太陽光」映像。めちゃピース!!
「PEACE BOSSA」(1992年・BMGビクター)演出・カメラ:中野裕之、音楽&出演:小野リサ、アマゾンの動物達、そして雄大なジャングル。(38分)
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